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特別になった誕生日【SIDE - DAISUKE】

大介×なつみ

2005年 大介誕生日



今日は7月14日。

オレの生まれた日だけど、別になにか特別嬉しいわけじゃない。
毎年家族や、徳さんが、友達が祝ってくれて、終わってく…
そんな日だったんだ。


―――――――――――――― 去年までは………





夢が丘小学校では、もうすぐ夏休みということもあり、
学校中がざわめいた様子で、浮き足立っている。

4年2組も同様で、皆夏休みを心待ちにしている様である。

「よぅ! 大介!!
今日誕生日だろ? おめでとう!!」

「これやるよ」

「サンキュー!!」

なつみがふと大介の方に目を向けると、
大介の元に仲の良い男子が数名集まって、楽しそうに会話をしている。

学校に私物を持ってくるのは禁止されているのだが、
男子たちはお構いなしの様で、個々にプレゼントを持ち寄っているようだ。

弾んだ男子達をよそに、なつみは沈んだ気分でいた。

クラスメイトはそんななつみの様子に気付いていなかったが、
大介は見逃してはいなかった。






昼休み。

なつみは閑散とした屋上にいた。
誰一人いない、静かな空間。

いつもならタマエやえりこと校庭で昼ご飯を食べてるのだが、
急用だと言って抜けてきてしまった。

(どうしようかな……)

今日は大介の誕生日。
それはなつみも知っている。

なつみの誕生日には、大介は手作りの小物をくれた。
大介の心中はわからないけれど、とにかく嬉しかった。

だからお返しを、というわけではないが、
なつみも大介にプレゼントを渡そうと数日前から色々考えていた。




別に大介に特別な感情を抱いているわけではない。
ただ、大介には色々と助けられている。

みらいちゃんが家から脱走した時も、
いづみおばさんが骨折して、みらいちゃんを学校に連れて来なければ
いけなくなった時も、
ママと一緒にロンドンに行きそうになった時も…

いつも、いつも大介が助けてくれた。
頼んだわけでもないのに、気が付けば大介はいつもなつみの傍にいた。
知らず知らずのうちに、なつみの中で大介の存在が大きくなっていた。

深い意味はないけれど、
いつものお礼も兼ねてプレゼントを渡そうと思った。
ただ、渡すタイミングだけがどうしてもわからない。

学校で渡して冷やかされるのも嫌だし、わざわざ家に届けに行くのも
少し抵抗がある。
そもそもあの大介が素直に受け取るとも思えない。

(でも学校よりはまだ家…の方がいいわよね… でも………)




「こんなとこで何やってんだ?」




「だっ、大介?」

「おまえ、飯も食わないで何やってんだよ。
タマエたちが心配してたぜ?」

「大介が何でここにいるのよ」

「おっ、お、オレは…
オレは昼寝だよ! 昼寝!!」

「昼寝? アンタ学校に何しに来てんのよ」

「うっせーな!!
おまえこそこんなトコで何やってんだよ」

「だっ、大介には関係ないじゃない!!」

本人を目の前にして、大介に渡すプレゼントのことで
悩んでいたなんて、言えるわけがない。

「何だよ! 人がせっかく心配して言ってやってんのに」

「誰も心配してなんて言ってないわよ!!」

「けっ! そーかよ!」

「あたし、タマエたちのとこに行くから!
じゃーねっ!」






結局いつもと同じである。
心配されても、ついつい憎まれ口を叩いてしまう。

別に大介とケンカをしたいわけではない。
したいわけではないのだが、無意識のうちにいつもこうなってしまう。

(あーあ、やっぱやめよう…)

なつみはそう思って、階段へ続く扉に向かった。




「今日さ…」




大介がぼそっと呟いた。
なつみに聞こえるか聞こえないくらいかの小さな声で。

「え?」

大介の声が聞こえたような気がする。




「いや、何でもねー…」






その夜、

夕飯も終え、みらいちゃんを寝付かせたなつみは、
わけのわからない、重圧な気持ちに悩まされていた。

(何なんだろう……  胸が苦しい…… ホワイトデーの時みたい……)

(このまま今日が終わっちゃったら、ずっとこんな気持ちのままなのかしら…)




(やっぱりこのままじゃ嫌だ………)




「いづみおばさん!
ちょっと出かけてくるから、みらいちゃんをよろしくねっ!!」

「ちょっ、ちょっとなつみっ!!
あんたこんな時間にどこに行くのよっ」

いづみの問いかけにも答えず、なつみはそのまま飛び出していった。




気が付けば、なつみは大介の家の前まで来ていた。
無我夢中で飛び出してきたのはいいけれど、
こんな時間に訪ねるわけにもいかない。

訪ねることも出来ず、また戻ることも出来ず、
ひたすらうろうろしていると、
大介の部屋の近くまで来てしまっていた。




(大介… 起きてるのかな…)




勢いでここまで来てしまったのはいいけれど、どうすることも出来ない。
諦めて帰ろうとした、その時




「なつみか?」




窓がガラッと開き、大介の声がした。

「だっ、大介…」

「お、おまえこんなとこで何してんだよ…」




大介は窓を開ける前から、理由は分からないけれど、
何故だかなつみのような気がした。
むしろなつみであって欲しいと、大介は願っていた。

「えっ、えっと…」

心の準備も整わないうちに大介に見つかってしまった。

(ど、どうしよう…)




「オレに何か用だったのか?」

否定されたらどうしようと思いつつも、つい口にしてしまう。
どうせなつみのことだから、「ただ通りかかっただけ」 とか言うのだろう。

しかし、予想と反してなつみの発した言葉は違っていた。

「だ…大介に渡したいものがあって…」

「オレに?」

なつみは言葉の代わりに、小さな包み紙を渡してきた。

「これ、オレに?」

こんなものいらないと付き返されるかもしれない恐怖を感じ、
なつみは真っ直ぐに大介の顔を見れないでいる。
心拍数がどんどん上がり、普通に呼吸もするのすら難しい。

「嫌なら受け取らな…」

なつみが言い終える前に、
大介はなつみの手から包み紙を受け取っていた。




「おまえ、オレの誕生日知ってたのか?」

大介の心拍数も異常なまでに高まっている。




「……………」

なつみは何も答えない。
だが、なつみの顔を見ればわかる。

この世界に自分達しかいないような、そんな錯覚に襲われる。




「あー…、ホワイトデーとかの礼?」

「ちっ、違っ………!!」

なつみは慌てて口元を押さえる。
思わず否定してしまった自分にもビックリする。

お礼ということで渡しても変じゃないはずなのに…
お礼と思われるのは何故か嫌だった。

「そっか、サンキュ…」

素直に口から言葉が出る。




何よりも、自分のためになつみが用意してくれていたことが、
心の底から嬉しかった。

なつみが顔を上げると、大介は月明りに照らされ、
月光の中で優しく微笑んでいた。




「じゃ、じゃあ、あたし帰るね!!」

なつみは気まずさのあまり、足早にその場を立ち去ろうとした。

「あ、オレコンビニ行こうと思ってたんだった」

「え? こんな時間に?」

「いっ! 色々と買うもんがあるんだよっ!!」

「ふーん…」

(こいつはなんでこんなに鈍いんだ…?!
つーか鈍すぎだろ…)

「じゃああたし帰るから。 また明日ね」

そういってなつみは帰路に向かおうとする。




「おいっ、後ろ乗れよっ」

「ついでだから送ってやる!!」

「言っとくけどついでだからなっ!!!」

大介が素直に 『送る』 と言えるわけもないが、
暗い夜道を一人で帰らせないところが、大介のいい所でもある。




「しょ、しょうーがないから、送られてあげるわよっ!!」

「かわいくねーの…」

「なんですってぇ?!
聞こえたわよっ! バカ大介っ!!」

眩しいほどの月明りの下、二人の声は遠ざかっていった。

翌日、大介の鞄には手作りのサッカーボールのキーホルダーが
揺れていた。




正直生まれてきて良かったと思ったことは、
今までただの一度もなかったけど、
今日は誕生日ってやつが本当に嬉しく思えたんだ。




この日、何かはわからないけど、
確かにオレたちの間の何かが変わった。
オレも… そしてなつみもわからない、何かが…




オレたちの間に芽吹いた小さな 『何か』 は、
少しずつ、そして
本人たちも気付かないようなスピードで、ゆっくりと大きくなっていく。




―――――――――― それに気が付くのは、もっともっと先の話………






-FIN-





あとがき

とりあえずどうしようもないくらい情けない小説ですが、勘弁してやってください orz
今の朝比奈の力量じゃ、こんなもんが限界ですさ (;´Д`)

どうも侵入ネタが好きなようです。
だって何か密会っぽくていいカンジじゃないですか Ψ(`∀´)Ψ
お互いに侵入しあってるって思ったら、心拍数が上がってきます (爆
くはー ドキドキドキ…

個人的には、大介は友達同士でワイワイ…っていうのはあまりなさそうな感じ
なんですけど、人気者であって欲しいので、みんなに持ち寄ってもらいました (爆

でも大介はやっぱなつみに祝ってもらわなきゃねー v(≧▽≦o)

毎度のことですが、今回もタイムパラドックス的なので
その辺のツッコミは無しってことでお願いします~ (゚∀゚) アヒャヒャ

パラドックス気にしてたら、自分にゃママ4小説は書けません (爆

でも一つしまったことが…
この調子で何回も小説書いてったら、小4だと限界を向かえそうだ… (;´Д`)
まぁ気にしないでおきましょう ε=(´ε `;)

んでもって、一応リアル大介の小説も書いてみました。
23歳の大介です。

よければそちらもご覧下さいね (;´▽`A``

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